FIP制度が2022年4月スタート。FITとの違い、そのメリット・デメリットについて。

(2021年11月19日)

こんにちは。スタッフ森です。

再生可能エネルギーの導入拡大のために、現行のFIT制度に加え、新たにFIP制度導入が決まり、2022年4月からスタートしていくことになりました。FIPとは?なぜ導入するのか?概要を簡単にまとめてみました!

 

FITとは?何が問題?

2012年、まだそれほど普及していなかった再エネの導入をうながすために、「FIT制度」がもうけられました。
これは、再エネ発電をおこなう事業者を増やし、再エネの導入を拡大することを目的に、再エネ設備から発電された電気(再エネ電気)をあらかじめ決められた固定価格で買い取るよう、電力会社に義務付けた制度です。こうした支援のもとで、再エネは急速に拡大しました。

しかしこの制度を行う中で大きくふたつの問題がでてきました。

 

①国民負担の「再エネ賦課金」の増大

この固定価格の原資となっているのは、電力料金で必ず一緒に徴収される「再エネ賦課金」です。これは電気を使っている人すべてが負担しているもので、再生可能エネルギーが普及するのに伴いその金額も年々上がっており、2021年度の見込みでは総額2.7兆円におよんでいて、国民の大きな負担によりFIT制度が成り立っています。

 

②電力市場から切り離された状態

FIT制度は、電気の使用者のニーズや競争によって価格が決まる電力市場からは切り離された制度であり、再エネ発電事業者はいつ発電しても同じ金額で買い取ってもらえるため、電気の需要と供給のバランスを意識する必要はありませんでした。
しかし、今後再エネを主力電源としていくためには、火力などほかの電源と同じように、需要と供給のバランスなど電力市場の状況を踏まえた発電をおこなう、自立した電源にしていく必要があります。

 

 

FIPとは?

そこで2020年 6月、再エネを電力市場へ統合するにあたっての段階的な措置として、電力市場の価格と連動した発電をうながす「FIP制度」を導入することが決まりました。
FIP制度とは「フィードインプレミアム(Feed-in Premium)」の略称で、再エネの導入が進む欧州などでは、すでに取り入れられている制度です。この制度では、FIT制度のように固定価格で買い取るのではなく、再エネ発電事業者が卸市場などで売電したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで再エネ導入を促進します。

 

(画像出典:経済産業省)

 

現行のFIT制度では、電力会社が再エネ電気を買い取る際の1kWhあたりの単価(調達価格)がさだめられていますが、これと同じように、FIP制度でも、「基準価格(FIP価格)」がさだめられます。この「基準価格」は、再エネ電気が効率的に供給される場合に必要な費用の見込み額をベースに、さまざまな事情を考慮して、あらかじめ設定されるものです。

あわせて、「参照価格」(市場取引などによって発電事業者が期待できる収入分のこと)もさだめられます。
この「基準価格」と「参照価格」の差を、「プレミアム」として再エネ発電事業者がもらうのです。つまり、再エネ発電事業者は、電気を売った価格にプレミアムが上乗せされた合計分を、収入として受け取ることになります。

FIP制度とFIT制度の大きな違いは「市場価格との連動」です。
電気も食品などと同じく、本来ならば需要と供給のバランスで、みんなが必要だけど電気の供給が少ない夜間は電力の価格は上がるはずですし、逆に昼間は電力の価格は下がるはずです。
FIP制度が導入されることで、再エネ発電事業者は収益の予測が立てにくいといったデメリットがあるものの、
プレミアムをもらうことによって再エネへ投資するインセンティブが確保されます。
さらに、電力の需要と供給のバランスに応じて変動する市場価格を意識しながら発電し、蓄電池の活用などにより市場価格が高いときに売電する工夫をすることで、より収益を拡大できるというメリットがあります。
FIP制度により電力市場の競争が活性化され、国民負担が減ることが期待されています。

 

詳しくは、経済産業省資源エネルギー庁のHPをご参照ください!

 

 

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投稿者:森